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国産材を丸ごと一本使い切る!「 IKONIH 事業」が伝わるためのサイトへ刷新
ホームページ無料診断の活用企業「丸紅木材株式会社」の取り組み
国産材を丸ごと一本使い切る!
「IKONIH 事業」が伝わるためのサイトへ刷新
ホームページ無料診断の活用企業
丸紅木材株式会社の取り組み
「自社サイトの現状を把握したい!」「ネットショップの売上をあげたい!」「検索エンジンに最適化できているのかを確認したい!」「今後取り組んでいかないといけないことは何か?」など、御社のホームページを21の項目で診断し改善につなげていただく、大阪産業局のサービス「ホームページ無料診断」。今回は丸紅木材株式会社様にお伺いして、相談のきっかけから取り組みの成果までを担当の田淵 様(広報)、山本 様(web担当)、川田 様(営業)にお伺いしました。
松崎:まずは、御社の業種と主なサービスについて教えてください。
田淵さん:弊社は1948年に大阪で木材の輸出入・販売を始めました。最初は東南アジアから輸入した天然木を中心に卸売販売していたのですが、今では持続可能な人工林や植林木を主原料とした加工製品の販売が主になっています。また、原料を余すことなく製品化するのが私たちの役割だと考えていて、現在はLVLプレカット加工(建築部材)や国産材加工(家具・玩具)を中心にIKONIH(アイコニー)事業を展開しています。(詳しくはこちら:https://www.marubenilumber.co.jp/history/)
松崎:「ホームページ無料診断」を受けようと思われたきっかけは何でしょうか?
田淵さん:きっかけは、2023年の9月に大阪商工会議所で開催された商品開発ゼミを受講した際に、大阪産業局さんからのお知らせでデザイン無料相談のチラシをもらったことです。チラシには、デザインの専門家が3人もいると書かれていたので、「これは3人ともお願いできるな!」と思い、チラシを握りしめて社内のそれぞれの担当者に声をかけ、一緒に相談に行こうと話しました。
最初に松崎さんにお会いしたときに、「こういうことで困っていて…」と、私が思っていたことをいくつかお伝えしたら、その場ですごく的確なアドバイスをいただきました。「これは本格的に行かなあかん!」と思い、帰って二人に共有したのを覚えています。松崎さんには、ホームページを担当する山本と一緒に改めて訪問させていただきました。
松崎:たまたまなんですが、そう言っていただけると嬉しいです。ところで、「ホームページ無料診断」を受けられる前に、自社のホームページに対してどのような課題や不満を感じておられましたか?
田淵さん:その頃、webサイトのリニューアルに向けて準備を進めてはいましたが、弊社のwebサイトがあまりにも時代に沿っていなかったので(笑)。そもそも丸紅木材はBtoB向けの商売しかしてこなかったので、サイトの内容も正直あまり見やすくなくてこちらが一方的に発信しているだけというようなレベルだったと思います。
そんな中で国産材事業の方は、常に取り組みが更新されていくので、サイトに載せられていない情報が増えていました。例えば、幼稚園・保育園向けの家具やノベルティ等様々な取り組みがある中で、webサイトのどこを探しても載っていませんでした。弊社の取り組みがメディアに掲載されることがあっても、webサイトにニュース欄すらなかったですから。完全にタイミングを失って機会損出しているなと感じていました。
丸紅木材のwebサイトを初めて見にくる人に、「この会社ってすごい会社やな、安心して取引できるな」と思ってもらいたいのに、何も載せられていない状況はもったいなさすぎると、社内で声を上げていました。
そんな紆余曲折があって制作会社探しを始めてから一年後ぐらいですかね。いよいよ2022年の春にwebサイトのリニューアルに本格着手しました。webサイトのデザインイメージを作成し、それを業者に渡してそのままコーディングして組み立ててもらうようにしました。細かいチェックを山本が、私は全体の構成バランスを見る役割です。
松崎:サイト作りには、細かいところまで気を配るのと、全体の雰囲気を重視するのと、両方が大事です。お客さんは初めてホームページに来るので、どこに何があるかすぐに分かるようにする必要があります。ごちゃごちゃしててもシンプル過ぎてもダメで、ちょうどいいバランスを見つけることがポイントです。
その際に「雰囲気」っていうのはすごく重要で、どんなに内容が充実していても雰囲気が悪いとお客さんは興味を持たないんです。だから、細部のチェックと全体のバランス、この両方をちゃんと考える必要があります。二人で役割分担しているのは、きっと御社の強みですね!
松崎:サイトの改善を進める中で、予想外の課題や障害がありましたか?また、それをどう乗り越えられましたか?
田淵さん:ホームページを作るときに名刺にしたいのか営業ツールにしたいのか、それによってつくり方が全然変わると制作会社に言われて、代表は「営業ツールにしたい」とずっと言ってたんですけど、名刺も必要じゃないかなと思い、どちらも叶えられないかなと考えていました。入り口は名刺、中身は営業ツールになるものにしたいというのが最終着地点でした。だから事例集を入れられる場所をつくり、木製品のノベルティも見積りを取れるところまで準備し営業ツールも充実させ、プロジェクトが始まるまでは構想設計をずっとやってましたね。
松崎:ホームページをリニューアルするとき、一番大事なのはやっぱり「何を作るか」「どういう目的で」「どういう流れで作るか」っていうのをしっかり考えることです。何度も検討を重ねて直していかないとダメなんです。ここができてないと、他の業界のいい感じのサイトを真似しても、やっぱりうまくいかないんですよね。
そこから先はブランディングですよね。「御社ってどういう会社?」っていうのが、みんなに伝わって、読んでわかってもらえるようにすることが大事です。そうしないと、ちょっと機能不足というか、物足りない感じがしてしまいます。今後もっと良くなっていくと思うんですけど、その入り口の部分が他の会社と違うところ。逆に言うと、御社がやってきて成功している部分。一年間の構想の成果っていうか、そこが一番大事なんだなと思います。
田淵さん:弊社の社風として、そのあたりは社員を信頼して任せてくれる会社で、お金をかけるべき意図も伝えて、代表には定期的に進捗報告を入れてます。
「今、産業局の松崎さんと面談していて、すごく的確なアドバイスをもらっている。ホームページは見た目の部分だけではなくて、その裏側の調整が大事ということ。例えばGoogleで検索に上がってくるための方法を細かくご指導いただいている」など。
松崎:ホームページのリニューアルに際して、実際にどのような改善を行われましたか?具体的な変更点や取り組み、制作会社さんと打ち合わせする上で難しかった点について教えてください。
山本さん:松崎さんにアドバイスいただいた翌日からすぐに手を入れ始めました。具体的には、Googleプロフィールの登録や、画像のalt入力等、こちらでできることを行い、画像の軽量化等は制作会社に任せて、データを差し替えてもらいました。ページスピードインサイト(Googleが提供するサイトの表示速度を測るアプリ)の結果も少し評価が上がりました。
外注の制作会社とも上手くキャッチアップしながら進めているのですが、例えば「ここが気になるので改善してください」と伝えても、制作会社から「対応はできますが、そこまでこだわらなくてもいいのではないですか?」等と言われることがあります。そういう時、どう返答すべきか迷ってしまうことがありますね。
松崎:ホームページの表示スピードの改善は今、一番ホットな話題です。しかし、最も大事なことはユーザーが使いやすいかどうかであり、検索順位が上がるのは結果として付いてくるものです。ユーザーは見たいと思ったらリンクをクリックしますが、少しでも待たされるとすぐに離脱します。実際には読み込み時に待たされるとサイトの印象が悪くなります。したがって、ページを素早く表示させることが重要で、改善は一つずつ地道に行う必要があります。
画像の最適化はその一例であり、WebPなどの最新フォーマットを使用すると画像サイズを縮小でき、読み込み時間を大幅に短縮できます。ただ、一つ一つの効果は小さく手間がかかる作業です。そのため、制作会社はこの作業を嫌がることが多いです。
制作会社との打ち合わせでこの点をどのように進めるかが重要ですが、最終的には自社の目標を明確に伝え、理解してもらい、長期的な信頼関係を築くことが必要です。確実な方法は、新着情報を入力する際に画像の圧縮やバックリンク、Googleビジネスプロフィールとの連動などの作業をルーチン化することです。これにより、制作会社の理解も得やすくなります。
田淵さん:最近何かあれば、「御社のホームページにもリンクつけてください」や、当社を紹介をするって言ってくれたら「弊社にもリンク繋いでください」等意識して言うようになりました。今まで気にしなかった部分が、会話の中で出てくるようになりましたね。
松崎:御社の事業活動の中でリンクをもらうという形にしていくのが一番きれいですし、リンクしてもらわなくても御社の名前と事業の名前が書かれているだけでも最近Googleがちゃんと理解してるので、それも含めて評価されるみたいですね。ポイントは、リンクを張るときはトップページじゃなくて対象のページに必ずリンクを張ってください。
松崎:ホームページ改善後に得られた新しいビジネスチャンスや、お客様からの反応について教えてください。
川田さん:ノベルティの問い合わせとかは増えましたね。今までもwebサイトに情報はあったんですけど、全然問い合わせが増えなかったんです。でも、最近は1週間で3回くらい会社に問い合わせが来て、「何を見て連絡してくださったんですか?」と聞くと、やはりホームページを見たと言われます。今、「国産材 ノベルティ」で検索すると、5番目くらいに上がってくるようになって、新しいところからの問い合わせも増えました!
松崎さんに「メタディスクリプション(記事の概要を紹介する100〜120文字程度の文章のこと)を入れてください」と言われて、みんなで考えて入れたことが結果になって表れているなと。サイトを見ていると、入れてない会社も多いんですけど、それを入れることによってパッと見てどんな会社かが分かりやすくなりました。私が今回の検索結果で一番凄いなと思っているのは、他の上位の会社はノベルティを生業としている会社なのですが、木材会社の一事業としてノベルティを扱っている当社が検索順位を上げられていることです。
松崎:例えば、初めての顧客への電話なんかで「国産材のノベルティを御社でいかがですか?」って営業をかけるとほぼ100%切られると思いますが、ホームページからの問い合わせが来たら、営業のアプローチのかけ方が非常に楽になります。会える確率も高くなると思うんです。ホームページから受け継いだ情報はアナログで有効活用できますので、営業の方をしっかりと巻き込んで、もっといい確度の問い合わせが入るためにチームとして動かれることをお勧めします。
川田さん:お客様との商談の際に、今までだったらいろんな事業の紹介をして、「そんなこともできるんですね」というやり取りがあって、ようやく本題に入れていたのですが、最近は「ホームページで見ましたよ」と言われるようになって、前提情報を知った上で会いにきてくれているんだなって。営業が非常にやりやすくなったと同時に、決断のスピードもアップしたと感じています。
松崎:それはいい傾向ですね。問い合わせ件数が増えたということですが、サイトへのアクセス数などに変化があれば教えてください。
山本さん:Googleアナリティクスで、4月から6月の3か月間を去年と今年で比べてみたのですが、表示回数が336.4%アップしていて、エンゲージメントも平均1分18秒と長めで見られていて、凄い変化だなと思っています。
松崎:それは嬉しい変化ですね!私の診断は点でしか関われないんですが、御社が頑張ってそれを線にしてくれたというか、これをブレずにずっと続けていくと、この線がいつしか面になっていくと思います。
松崎:では、最後の質問ですが、「ホームページ無料診断」を他の企業に勧めるとしたら、どのような点を特に強調されますか?
川田さん:松崎さんの信頼できるアドバイスと、指示が的確なところです!
山本さん:なかなか客観的に詳しい意見を得られるような場がなかったので、今回、非常に貴重な機会をいただいたなと思っています。
田淵さん:診断結果のチャートを拝見して、難しいカタカナ用語がいっぱいで私と川田は置いてきぼりでした。診断結果を聞いても分からないから、何もせずに終わってしまうという企業さんは多いと思います。当社には山本がいるのでその先が反映できていますが、本当は、その先までフォローアップできるような仕組みがあるといいなと思います。
松崎:なるほど、そこは私も課題として思っています。健康診断に行って要再検査って出ても行かないみたいなね。今まで400社ぐらいの診断に関わらせていただいて、なかなか行動に移せない企業もありますが、そのうちの何社かは妥協せずに改善されたところがあって、そこは完全に自走しています。御社もそれに近いスタートを切られたと思います。
ホームページの改善を実践していただきやすくするために、最近ちょっと気をつけているのは「altを入れる」とか「画像を軽くする」とか、自社でもできるところの優先順位を決めて伝えるようにはしています。タイミングが合えば、御社のようにリニューアルの時に関わらせていただければ、抜本的な対策ができると思いますし、御社には響いていただけたのでいい結果になったと思います。
田淵さん:私たちは松崎さんに響きまくっているので。
川田さん:本当にそう、響きまくっていますからね!(笑)
松崎:えーつ?! 何が〜?(汗) 「ええこと言うて〜」というパスを見事に受け返していただいて本当に助かります!本日はどうもありがとうございました。