ビジネスをデザインでひらく 公益財団法人大阪産業局・デザイン活用支援 oidc(Osaka Innovative Design Connect)
2024デザイン・オープン・カレッジ ワークショップ「ビジョンを経営に活かす4つのメソッドを学ぶ」開催報告
2024年11月15日・22日の2日間、マイドームおおさか4階研修室にて、「VISIONを経営に活かす4つのメソッドを学ぶ」ワークショップが開催されました。講師はNINCHI代表の小山啓一氏。シャープ株式会社でのインナーブランディング推進の経験をもとに、実践的なメソッドが紹介され、受講者満足度は100%(大変満足+満足)という高い評価を得ました。
背景と目的
近年、企業経営において、自社の存在意義や進むべき方向性を明文化するためのミッション・ビジョン・バリュー(MVV)やパーパスへの関心が高まっています。しかし、これらの策定には多様な解釈があり、実行に移すことをためらう経営者も少なくありません。
本ワークショップでは、小山氏が提唱する文系的アプローチを用いた「人々の共感を得るビジョン」策定のための4つのメソッドを体験しました。
小山氏による「iMVV」の再定義
講座では、従来のMVVを「経営に効果のある」形に再定義した「iMVV」が紹介されました。
iMISSION:私たちは「〇〇」であると存在を規定すること
iVISION:人を前向きに導く明るい望み
iVALUE:行動指針・日々の約束
a-VISION:これら全てを含み、顧客中心にセールスからマーケティングへの関係を構築するもの
文系的アプローチを体感する演習
演習1:「ものの名前を消してみる」ゲーム
参加者は、カードに書かれた「物の名前」を使わずに、それを情景や感覚で表現する練習を行いました。
たとえば「ビール」を、「黄色や泡の白」「乾杯の声」「喉越しの爽快感」などで表現することで、五感や感情を刺激する描写が重要であることを学びました。
演習2:2×2フレームワーク
次に、「顧客の心をつかむ」ための軸を見つける「2×2フレームワーク」を活用しました。
縦軸:「感動(ワクワク感)」を高める要素
横軸:他社との差別化を図るキーワード
縦・横軸のキーワードからiMISSIONを導くための方法として、下記の文章構造に当てはめる考え方が示されました。
「私は〇〇(横軸)で皆様に〇〇(縦軸)を提供する〇〇です。」
演習3:インナーブランディングの展開方法
「25年後の後輩たちへ」というテーマで、自身が伝えたいメッセージを考えながら、ビジョンや理念を社内に浸透させるためのワークを行いました。この演習を通じて、組織の未来を見据えたコミュニケーションの重要性が共有されました。
演習4:直感的にわかるタグラインメソッド
「ビジョンを社内から社外(顧客)へ繋ぐ」ための重要な役割を果たす「タグライン」の作成方法を学びました。「業態が分かる」×「思い・共感」という言葉の組み立て方で、直感的に伝わる表現を追求しました。
実践:ファストフード店の新たなビジョン策定
2日目の演習では、ファストフード店を題材に、独自の価値軸を見つけ出すワークが行われました。参加者は「ライブ感」「職人の技」「日本の伝統文化」など、他社との差別化につながるキーワードを創出し、具体的なiMISSIONを策定しました。
思考例:
「私は『一区切りの時間』で皆様に『ほっとする感動』を提供するカフェチェーンです。」
受講者の声
ワークショップで学んだことや新たに気づいたことについて、受講者からは、以下のような感想が寄せられました:(下記アンケート結果より)
- 「感性的アプローチの重要性を実感しました。自社の価値を改めて見直す良い機会になりました。」
- 「ポジショニングマップを作る過程で、自社の独自性をどう伝えるかを深く考えられました。」
- 「Mission・Vision・Valueの違いを明確にし、顧客視点を取り入れることで、より実践的なビジョンを作ることができました。」
まとめ
本ワークショップを通じて、ビジョン策定の新たな視点を学び、企業の強みを再発見する機会となりました。参加者は、感性を磨きながら自社の未来を描くヒントを得られたと高い満足度を示しています。
大阪産業局では、今後も経営者や企業担当者の支援となるセミナーを開催予定です。次回の開催もぜひご期待ください!