ビジネスをデザインでひらく 公益財団法人大阪産業局・デザイン活用支援 oidc(Osaka Innovative Design Connect)

新着情報分類:

2024デザイン・オープン・カレッジ ワークショップ「存在意義と未来シナリオによるビジョンづくり」開催報告

2024年12月5日・6日の2日間、マイドームおおさか4階研修室にて、「存在意義と未来シナリオによるビジョンづくり」をテーマとしたワークショップが開催されました。講師は、「正解がない時代のビジョンのつくり方」の著者、グラグリッド代表取締役の三澤直加氏。ビジュアル思考を活用した独自のビジョンづくり体験は、受講者満足度100%(大変満足+満足)という高い評価を得ました。

存在意義と未来シナリオによるビジョンづくり1

背景と目的
 
企業がビジョンづくりで直面する課題には、「独自性が欠けている」「抽象化が過ぎて意図が伝わらない」「時代の変化に対応できないマーケティング視点のビジョン」などが挙げられます。本ワークショップでは、これらの課題を克服するため、概念化手法を活用してビジョンの本質を引き出し、未来志向で具体的な方向性を示す手法を学びました。
 
ワークショップ内容
 
1日目:存在意義のデザイン
   企業や商品の「存在意義」に注目し、独自の価値を見出す方法を学びました。
 
演習:隠れた意味を発見する「360度探索法」
 
この演習では、6×5のマス目にテーマ(「服」にまつわる体験)から連想される言葉を制限時間内に書き出す作業を行いました。短時間で言葉を次々に書き出すことで、潜在意識から新たな視点を引き出します。ワークは以下のステップで進められました。

存在意義と未来シナリオによるビジョンづくり2

 STEP1:体験の探索
商品やサービスに関連する「機能」ではなく、日常生活の中で得られる「体験」に注目し、状況や感情を洗い出しました。
 
STEP2:意味の発掘
書き出した要素の中から異なる要素同士の関係性を見つけ出し、隠された意味を深掘りしました。これにより、表面的な特徴ではなく、独自性や本質的な意味を浮かび上がらせる作業を行いました。
 
STEP3:隠れた存在意義の整理
発見した意味を「〇〇は、〇〇できる〇〇である」という形式でまとめ、アナロジー(比喩)を活用して、独自性を強調した存在意義を文章化しました。たとえば、「服は、安心感を与えられる心のシェルターである」など、新たな視点を共有しました。

存在意義と未来シナリオによるビジョンづくり3

 このプロセスにより、商品やサービスの機能だけでなく、それがもたらす情緒的価値や社会的意義を捉え、「抽象化」ではなく「概念化」する感覚を養いました。
 
講義:ビジョンをつくるために見据えるもの

ビジョンづくりの基礎として、自社の存在意義と未来社会の交点に着目する方法を学びました。プロダクト・ビジョンを「探索→構成→適応」のプロセスで段階的にデザインし、社会価値やユーザー価値から具体的な事業構想に展開する考え方が紹介されました。

存在意義と未来シナリオによるビジョンづくり4

2日目:未来シナリオのデザイン
   未来洞察を活用し、ビジョンを具現化するための基本的な手法に取り組みました。

存在意義と未来シナリオによるビジョンづくり5

 演習1:未来シナリオの探索

テーマ「2035年につくり出したい人生を豊かにするファッション」を題材に、ワールドカフェ形式で意見交換を行いました。

存在意義と未来シナリオによるビジョンづくり6

 未来の世界を考える仮説の提供

 三澤氏から以下のような未来の仮説(未来洞察によってつくられた社会変化仮説:https://laboratory.jpn.panasonic.com/kizashi-lab/ を活用)が示され、発想するための条件が明確にされました。
 
・ AIや科学技術により人工的な心身能力の改変が進む世界
・ 価値観をもとに家族やコミュニティが作られていく世界
・ 技能や思考法がインストール可能になる世界
 
STEP1:4W1Hを活用した活動の探索
各セッションで話し合われた内容を模造紙に記録し、グループごとに「Who」「What」「When」「Where」「How」の観点から未来の活動を具体化しました。
 
STEP2:未来シナリオの作成
発見した活動や価値を統合し、未来の社会での役割を表現するシナリオを作成しました。

存在意義と未来シナリオによるビジョンづくり7

 演習2:ビジョンマップの作成

自分たちがつくりたい未来のビジョン(風景)を1枚の絵で表現するビジョンマップの作成を行いました。
 
ビジョンマップを作成するにあたり、三澤氏から描き方の参考となるテンプレート2枚が提供されました。
 
・ 「ビジョンツリー」:事業者を主体とし、経済活動全体を俯瞰して描き出す
・ 「変化する未来」:体験者視点で現在と未来の価値観や行動の変化を描き出す
 
ビジョンマップを通じて、ビジョンが組織や顧客に与えるインパクトを共有しやすくする方法を学びました。

存在意義と未来シナリオによるビジョンづくり8

受講者の声
 
ワークショップで学んだことや新たに気づいたことについて、受講者からは、以下のような感想が寄せられました:(下記アンケート結果より)
 

  • 「隠れた意味を見つける発想法が斬新で、自社の価値を再定義するヒントを得られました。」
  • 「未来シナリオを具体化するプロセスが非常に有益でした。」
  • 「ビジョンマップを活用して、他者との共有がスムーズに進みそうです。」
  • 「自社の存在意義を改めて深く考える良い機会になりました。」
存在意義と未来シナリオによるビジョンづくり9

まとめ

本ワークショップを通じて、参加者は自社の存在意義を発見し、未来志向での具体的なビジョンを描く方法を学びました。特に、隠れた価値を浮かび上がらせる発想法や未来洞察を活用したシナリオ作成は、多くの参加者に新たな視点を提供しました。
大阪産業局では、引き続き企業の成長を支援するセミナーを開催予定です。次回もぜひご期待ください!