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2025デザイン・オープン・カレッジ
「自社らしさを可視化するためのブランディングワークショップ」開催報告(12/5・12)

日時:2025.12.5(金)/12(金)14:00〜17:00
会場:マイドームおおさか4階 研修室
講師:NINCHI 代表/ブランディングデザイナー 小山 啓一 氏
定員:16名 
主催:公益財団法人大阪産業局、大阪府
 

本ワークショップは、曖昧模糊として掴みどころのないブランディングの構成要素を整理し、自社ブランドの「一貫性(トータリティ)」を確立することを目的として開催されました。講師の小山氏は、ブランディングを「信頼や愛着で深くつながること」と定義し、社内/社外の両面でこの繋がりを深めることの重要性を強調しました。
 

自社らしさを可視化するためのブランディングワークショップ


ブランディングの複雑な要素を分解して構造化するため、独自の思考モデルである「ブランディングツリー」(木のメタファー)を導入。企業理念から商品に至るまで、企業活動の全体を可視化する手法を参加者は学びました。
 
1日目は、ブランディングの基礎理論とツリーの概念を学び、自社のブランディング要素を言語化する演習に焦点を当てました。
 
ブランディングツリーの構造と役割
 
ツリーは、根、幹、枝葉、実、星の5つの要素で構成され、企業が社会に必要とされる理由から、目指すべき未来までを一気通貫で俯瞰できる指針を提供しています。
 

自社らしさを可視化するためのブランディングワークショップ

 
1.       土台(根):企業理念 (MVV)
企業の根幹であり、存在意義を定義します。ミッションは日々の職務・本質(私たちは何者か)、ビジョンは社会を良くする前向きな希望(○○な世の中にしたい)、バリューは行動原理(日々心がけていること、約束)を表現します。
 
2.       幹:独自性・強み・勝ち筋
企業独自の優位性(技術やノウハウ)を定義し、それが「勝ち筋」として顧客満足や社会貢献にどう繋がるかを明確にします。
 
3.       枝葉:顧客・コミュニケーション
顧客(ペルソナ)は、隠れた欲求(インサイト)を引き出すために設定されます。コミュニケーションは、自社の雰囲気を色や音、オノマトペなど、五感で感じる言葉に転換し、イメージワードで一貫性を担保します。
 

自社らしさを可視化するためのブランディングワークショップ


4.       実(オーナメント):商品・サービス・ソリューション
企業が顧客に提供する具体的な便益(商品名、特徴、選ばれる理由)を言語化します。
 
5.       星:インテグリティ(真摯さ)
ツリーの最上部に位置する倫理規範であり、不誠実な行動によるブランド崩壊リスクを防ぐため、常に自社を照らす不変の約束として機能します。
  

自社らしさを可視化するためのブランディングワークショップ


色彩選定の基礎
 
言語化されたブランディングの要素(エレメント)に基づき、ブランドカラーを選定する演習が行われました。色はメッセージを伝える強力な手段であり、自社の根幹となるブランドカラーを決定し、それを守り続けることがブランド構築のポイントであると説明されました。
 

自社らしさを可視化するためのブランディングワークショップ

2日目は、言語化されたエレメントに具体的なイメージカラーを割り当て、各チームにデザイナーが加わることで、実践的な色彩構成とツリーの完成を目指しました。
 

自社らしさを可視化するためのブランディングワークショップ

 
1. 色彩表現と一貫性の重要性
 
ブランディングの各構成要素に「キーカラー」や「サブカラー」を選定するワークを実施。講師は、企業が主張したい世界観のイメージに沿って色を選び、それを「守り育てていく」ことが極めて重要であることを強調しました。参加者はカラーチップを用いて自社のブランドカラーを選定する演習を行いました。

 

自社らしさを可視化するためのブランディングワークショップ


2. デザイナーの役割と採用エクササイズ
 
ブランディングの推進には、伝える技術、バランス感覚、時代を読む力を持つデザイナーの存在が不可欠であることが示され、ワークショップでは、参加者がサポートデザイナーを選ぶ「採用エクササイズ」を体験。これは、実際のビジネスにおいても、デザイナーのスキル(実績)だけでなく、人間性や誠実さが重要であることを体感させることが目的でした。
 

自社らしさを可視化するためのブランディングワークショップ


3. ツリーの完成と市場適合(チューニング)

参加者は、デザイナーのサポートのもとで選定した色やイメージ画像を配置し、ブランディングツリーを完成させました。
 

自社らしさを可視化するためのブランディングワークショップ


最終的に、このツリーは一度決めたら固定するものではなく、市場の変化に合わせて絶えず調整(チューニング)していく重要性が示されました。PMF(プロダクトマーケットフィット)やPSF(プロブレムソリューションフィット)といった概念にも触れ、顧客の課題を満足させる製品やサービスが提供できているかという視点で、ツリーの要素間の整合性(違和感がないか)をチェックすることが大切とされました。
自社のブランディングをツリーとして可視化することが、企業が提供する価値観を総括的に把握するための生きた指針であることが再確認されました。


受講者の声

フォーラムで学んだことや新たに気づいたことについて、受講者からは、以下のような感想が寄せられました:(下記アンケート結果より)

  • いつかいつかしようと思って後まわしにしていたことが、最優先すべきこととわかった。
  • 企業理念やブランディングをカラー・ビジュアルで表現することの発見、その際の鍵を勉強させてもらった。
  • 言葉から色やイメージを想像することや、直感を大切にすることを学んだ。
  • 何が出来上がるというより、事業や会社を見つめることが「奥深い」ということに気づかされた。より自社の解像度が上がった。