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2023デザイン・オープン・カレッジ ワークショップ「不確実な未来を実感覚で共創する体験のスケッチ(アクティングアウト)を学ぶ」開催報告

不確実な未来を実感覚で共創する体験のスケッチ(アクティングアウト)を学ぶ

2023年11月24日・12月1日の2日間、マイドームおおさか4階の研修室にて開催された、株式会社ビットデザインスタジオ Actingout Design Lab 主任 三宅 由莉氏によるワークショップは、受講者満足度100%(大変満足+満足)と大変高い評価をいただきました。

株式会社ビットデザインスタジオ Actingout Design Lab 主任 三宅 由莉さん

アクティングアウトとは、開発者が製品やサービスの使用シーンを「身体」を使って寸劇のように演じることにより、意識化されていない行為や違和感など、その場に漏れ出てくる情報を開発に活かす手法です。
 
一般的にアクティングアウトは、アイデアがほぼ固まり、製品のプロトタイピングやプレゼンテーションの段階において、特定のシーンを演じて齟齬がないかどうかを検証(シミュレーション)する手法として認識されていますが、三宅さんたちが考えるアクティングアウトは、開発の全行程で用いられます。
 
その特徴は、やって・みて・考える「体験のスケッチ」と呼ばれ、グループワークを基本とした身体感覚の共有による多様なコミュニケーションから、無意識下にある感情や気づきといった細やかな情報を表出させるものです。

不確実な未来を実感覚で共創する体験のスケッチ(アクティングアウト)を学ぶ

今回、三宅さんから出された課題は、野菜や冷凍餃子などの「無人販売店のシステム改善」であり、顧客以外は全てモノ(機器)という珍しい状況がセッティングされました。
 
受講者は、買い物客、案内モニター、冷凍庫、料金箱、監視カメラにそれぞれ扮して演技を行います。モノ担当は、プラダンなどを被ってモノの雰囲気を演出しています。
 
記録係はタブレット端末などでシーンごとに撮影し、後で見返せるように動画を記録していきます。

不確実な未来を実感覚で共創する体験のスケッチ(アクティングアウト)を学ぶ

アクティングアウトは、手を入れる前のプロセスの検証に始まり、特にシナリオを決めずにインプロビゼーションと呼ばれる「即興劇」で進みます。
 
少しでも違和感があれば、グループでその原因を突きとめ、機器のレイアウトを替えたり、店舗スペースを狭めたり、新たな工程を付け加えたりして様々なケースを試してみます。
 
寸劇に夢中になっていると、喋らないはずの機器が顧客に話かけたり、反応したりする場合があります。
例えば、料金箱にお客さんが1,000円を入れた際に「チャリーン」と答えてみたり、監視カメラなのにお客さんに会釈してみたりするのです。
 
これらの反応は、演者もモノである前に人間なので、ついつい顧客の気持ちに寄り添い、「こうだったらいいな」という潜在意識が思わず口をついて出てしまった結果です。
こうした些細な気づきをきっかけにして、機器や購買プロセスやシステムなどに対して身体感覚的に改善提案を行なえることが、アクティングアウトの良さです。

不確実な未来を実感覚で共創する体験のスケッチ(アクティングアウト)を学ぶ

何度もアクティングアウトを行うことにより、下記例のような問題点が浮き上がってきました。
 

  • 商品を冷凍庫から取り出すのが先か、料金を払うのが先か、導線に迷う。(どちらが先でも解決しない問題がある)
  • 無人店舗は無機的で寒々とした雰囲気。明るく暖かな要素が欲しい。
  • 冷凍庫の中の商品は安全と信用していいのだろうか?
  • 料金箱はお金を入れても反応がなく、何かリアクションが欲しい。
  • 監視ではなく、買い物を見届けて欲しい。
     

これらの気づきから様々な改善提案が出されたたことは言うまでもありません。
また受講者が終始、和気あいあいと楽しくグループワークを行なっていたことが印象的でした。
三宅さん曰く、アクティングアウトを行うとグループの結束力が高まり、プロジェクトを推し進める相乗効果も得られるとのことです。

不確実な未来を実感覚で共創する体験のスケッチ(アクティングアウト)を学ぶ

ワークショップで学んだことや新たに気づいたことについて、受講者からたくさんのお声をいただきました。(下記アンケート結果より)

  • 身体を動かすことでアイデアが思い浮かびやすいことに気付くことが出来て良い体験になりました。
  • 実際に行動してみると、改善や不足している事が浮きぼりになる。みんなで行うことが良いと思う。
  • アイデアがジャンプする瞬間がたくさん見られました。
  • ものすごく楽しかったです。最初どんな風に撮るのか分からなかったですが、シーン毎にとか、教えてもらえて良かったです。
  • 展示会に出展することがあるので、実際に身体を使ってどういうブースにすればたくさんの人に集まってもらえるかを考えていくようにしようと思いました。
  • サービスを検証する時に、やってみたいです。